Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
で、彼は、なるべく謙蔵に近づかない工夫をした。謙蔵の方では、別にそれを気にもとめず、かといって、進んで次郎を手なずけようとする努力も払わなかった。こんなふうで、二人の間には、いつまで経っても、伯父甥らしい親しみが生まれて来なかったのである。
謙蔵に対して、ちょうど次郎と同じ気持でこの家に寝起きしている子供が、もう一人いた。それは、お延という次郎の叔母――お民の妹――の一人子で、次郎より一つ年下の誠吉だった。
お延は、ある官吏の妻になっていたが、誠吉がまだお腹にいたころ、夫に死別れて、正木に戻り、ここで誠吉を生んだのだった。男の子が生れれば先方の籍に入れる、ということになっていたが、いよいよ生まれてみると、だい一お延が手放したがらないし、それに、先方でも喜んで引取るような様子がなかったので、正木の老人は、いろいろと考えた末、謙蔵夫婦に相談して、表面その実子にして籍に入れて貰うことにしたのである。
謙蔵夫婦は、別に誠吉を愛しもせず、さればといって憎みもしなかった。一たいに二人共、自分たちの実子に対しても、こまかな心づかいなどしない方で、いつも商売や家庭の切盛にかまけている方だった。