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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme

Aozora Bunko

「僕、あいつ、きらいだい。いつも叔母さんにばかり誠ちゃんを叱らすんだもの。」

二人は、しばらく默りこんだ。次郎はやがて、何かふと思いついたように、

「誠ちゃんは、あいつを、いつも父さんって言うんだろう?」

「…………」

誠吉は、いよいよ変な顔をして、次郎を見た。彼は、正木で生まれ正木で育ったので、従兄弟たちと一緒に、少しの無理もなく、謙蔵を父さんと呼びならわして来ている。彼が実の父でないことを、はっきり知っている現在でも、それだけは、彼にとって、ちっとも不自然には感じられないのである。

「父さんでもない人を、父さんなんていう馬鹿があるもんか。」

次郎は、平気でそんなことを言った。彼はそれがいかに毒のある言葉であるかを、まだよく知らなかったのである。誠吉は、しかし、何となく恐ろしくなった。

彼は心配そうに訊ねた。

「じゃ、何て言うの?」

「何とも言わなくったっていいや。僕だってもうこれからは伯父さんなんて言わないことにすらあ。だから、誠ちゃんも、父さんって言うの、よせよ。」

「だって、用がある時、どうする?」

「用なんかあるもんか、用があったら、僕、お祖父さんに言わあ。