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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme

Aozora Bunko

彼の机の中には五十何銭かの貯金があった。それは学用品代として俊亮に貰ったもののあまりや、近所に牡丹餅を配ったりした場合、先方から使賃として一銭ずつ貰ったのを貯めておいたものである。彼はこの貯金のことを思い出すと、急に胸がどきどきし出した。そして大急ぎで家に帰ると、珍しく病室にも顔を出さないで、すぐ自分の机の抽斗をあけた。そしてその中の小箱から、音のしないように十銭白銅三枚をつまみ出すと、すぐまたこそこそと家を出て、肉屋のいるところへ走って来た。

肉屋は、ちょうど俎と出刃とを目籠の中にしまいこむところだった。子供たちは、まだみんなその周囲に立っていた。そして、次郎が息をはずませながら帰って来たのを見ると、その中の一人が、見物事はもうすんだといったような顔をして言った。

「次郎ちゃん、もっと早く来ればよかったのに。」

次郎は、勢いこんで走って来たものの、妙に気おくれがして、みんなのいる前で、肉屋にもう一度目籠の蓋をあけさせる勇気が出なかった。買いにやられたことにすれば何でもないはすだったが、彼は自分の手に握っている金で、どのぐらいの分量の肉が買えるものか、その見当がまるでつかなかったのである。