Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme

Aozora Bunko

」

次郎は、むろん躊躇しなかった。そして第二回目からは、案内も乞わないで、さっさと薬局の中に這入りこんだ。たまには足音を忍ばせて春子を驚かしたりすることもあった。

調剤の時には、春子はいつも真っ白な上被をかけ、うぶ毛のはえた柔かな腕を、あらわに出していた。次郎にはその姿が非常に清らかなもののように思われた。彼は春子が仕事をしている間は、自分からはめったに話しかけなかった。そして、ガラスや金属のふれあうひそかな音に耳をすましながら、一心に彼女の手つきを見つめた。

春子は、ガラスの目盛をすかして見たりしながら、よく次郎に母の容態をたずねた。そんなときには、次郎はいかにも心配らしく、かなり大ぎょうな調子で、自分の直接知っていることや、祖母たちの話していることを伝えた。そして、春子が眉根をよせたり、眼を見張ったり、「まあ、まあ」と叫んだり、或いは笑顔になったりする表情を、自分自身に対する深い同情のしるしとして受取り、甘い気分になってそれに陶酔するのであった。

彼が薬局に来ているのを知ると、竜一がすぐ飛んで来て、彼をほかの部屋に誘い出そうとした。次郎は、しかし、それをあまり喜ばなかった。