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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme

Aozora Bunko

次郎は絶望に似たものを感じながら、母の病室に行った。彼は、そこでは、最初から母の叱言を予期していた。ところが、母はただまじまじと彼の繃帯でくるんだ顔を見つめるだけだった。そして、かすかな溜息をもらすと、すぐ眼をそらしてしまった。

「お坐り。」

お祖母さんがやさしく声をかけてくれた。彼はやっと救われたような気になって、彼女の横に坐った。

「そのぐらいですんだからいいようなものの、眼でもつぶれてごらん。それこそ大変だったよ。これからはもう花火なんかこさえるんじゃないよ。」

次郎はおとなしくうなずいた。

「お祖父さんにはもうあやまって来たのかい。」

次郎ははっとした。彼は、これまでみんなが彼に同情的な言葉ばかりかけてくれていたため、自分の方から誰にもあやまって出なくてもいいような気になってしまっていた。しかしお祖母さんにそう言われてみると、やはり自分の方からあやまって出るのが本当だ。お祖父さんが口を利いてくれないのも、或いは自分があやまって出ないためではなかろうか。そう思って彼はお祖母さんの顔を覗きながら答えた。

「ううん。」

お祖母さんは、しかし、それっきり默ってしまった。