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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme

Aozora Bunko

「あんな、何だえ。」と、また障子ががらりと開く。

「…………」

「はっきりお言い。」

「まあまあ、奥さん、わたしからお浜どんにはよう言って聞かせましょうで……」と、お糸婆さんが、やっとなだめにかかる。

「言って聞かせるもないもんだよ。年寄りのくせに、お浜にあいづちばかりうっていてさ。」

「へへへへ。」お糸婆さんは、お歯黒のはげた歯をむき出して、変な笑いかたをする。

その時、奥の方から赤ん坊の泣き声がきこえた。お民は障子をしめながら、二人をぐっと睨めつけて、おいて、その方に立って行く。

「どうせお前さんの思う通りにゃなりっこないよ。あきらめたらどうだね。」と、お糸婆さんはお浜に寄りそって小声で言った。

「やっぱり今度の赤ちゃんを預るのさ。飯米のこともあるしね。」

「あたしゃ、飯米のことなんか、どうだっていい気がするんだよ。」

「そりゃ、お前さんの今の気持はそうだろうともさ。だけど飯米もふいになるし、恭さんにもこれから逢えないとなりゃ……」

「ほんとうに逢わせない気だろうかね。」

「そりゃ、あの奥さんのことだもの。……お前さんも随分勝気だが、奥さんにあっちゃ叶いっこないよ。