Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
「以前からおいたでしたが、今でも相変らずね。でも、大したことにならないで、ようございましたわ。」
彼女は、次郎と自分との間に二三尺の距離があるのがもどかしそうであった。次郎は、しかし、お客にでも行ったように行儀よく坐って、固くなっていた。彼のこの時の気持は実に変てこだった。彼の前に坐って物を言っているのは、なるほど三年前に別れた乳母やにはちがいない。しかし、同時に全く別人のような気もする。それはちょうど、着なれた着物を一度しまいこんで、久方ぶりにまた取り出して着る時のような感じである。
お浜は、たてつづけにいろんなことを彼にたずねた。彼は、しかし、ただ「うん」とか「ううん」とかいう簡単な返事をするだけであった。その簡単な返事ですら、いつものように自然には出なかった。時とすると、はじめて人に対するような、ていねいな返事をしそうになることさえあった。
「お民も待ちかねているようだから、では、ちょいと顔を見せておいてくれ。次郎、お前乳母やを母さんのところへつれておいで。」
お祖父さんは、ひととおり二人の問答がすんだところで、言った。二人はすぐ立ちあがった。