Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
」
「うむ……でも、俺には策略がないんだ。」
「おや、では私には策略があるとでもおっしゃるの。」
「あるかも知れないね。……しかし、俺はお前のことを言おうとしているんじゃない。」
お民は歯噛みをするように、口をきりっと結んで、しばらく默っていたが、
「貴方は、策略さえ使わなければ、子供に対してどんなことを言ったり仕たりしてもいいとおっしゃるの。」
「心に本当の愛情さえあればね。」
「その愛情が貴方のはまるであてになりませんわ。」
「そうかね。だが、こんな話はあとにしよう。この子の前でこんなことを言いあうのは、よろしくない。お互の権威を落すばかりだからね。」
お民は白い眼をして、ちらりと次郎を見たが、そのまま默ってしまった。俊亮は縁台をおりながら、
「それよりも、寝る前にもう一度行水をしたいんだが、湯があるかね。」
「風呂にまだ沢山残っていますわ。」
「そうか。――おい、次郎、お前も一緒に来い。父さんが綺麗に洗ってやる。」
次郎は、聞いていて、何が何やらさっぱり解らなかった。ただ母が、自分のために父に対して抗議を申しこんだことだけが、たしかだった。かといって、彼はそのために父よりも母を好きになるというわけにはいかなかった。