Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
そして、大便をすますついでに、それを壺の中に放りこんでしまったのである。
放りこむまでは、彼は冒険家が味わうような一種の興奮を覚えていた。しかし雑嚢がどしんと壺の中に落ちた瞬間、彼は取りかえしのつかないことをしてしまったと思った。そして、時がたつにつれて、発覚の心配がひしひしと彼の胸に食い入って来た。
彼は胸の底に、かつて経験したことのない一種の心細さを覚えた。
彼は、恭一が朝飯を食っている間に、一枚の古新聞紙を懐にして便所につづく廊下を何度もうろうろした。そして、あたりに気を配りながら、もう一度中に這入って、懐から新聞紙を取り出し、それを拡げて雑嚢の上に落した。
それからあと、彼は落ちつき払って朝飯を食った。朝飯がすむと、裏の小屋に行って、直吉が薪を割っているのを、面白そうに眺めていた。
ものの三十分も経ったころ、だしぬけに、母屋の方から恭一の泣き叫ぶ声がきこえて来た。お民の鋭い声がそれにまじった。つづいてお糸婆さんが、あたふたと裏口からこちらに走って来るのが見えた。
「どうしたんかね、次郎ちゃん。」と直吉が言った。
「どうしたんかね。」と、次郎も同じことを言いながら、袖口で鼻をこすった。