Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶしゅうこうひわ
武州公秘話
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 武州公秘話 (ぶしゅうこうひわ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.572 Zeichen · 209 Bildschirme
痛くもなんともありやしないよ」
「そうですわねえ、可哀そうだけれど、やってみようかしら」
「やって御覧、やって御覧」
「おほゝゝゝゝ」
「さあ! 笑って胡麻化すなんて狡いぞ」
「おほゝゝゝゝ、胡麻化していやしませんわ。あたし、あの顔つきを見れば見るほど、やってみたくなりますわ」
「なんだか、斯う、是非やって戴きますッて、そう云っているように見えるね」
「おほゝゝゝゝ、ほんとうに構いませんこと?」
「構わん、構わん」
「道阿弥、あたしたちの話が聞えて?」
そう云いながら松雪院は、蚊帳の外を覗いた。
「ねえ、お前、今あたしたちが相談してたことが聞えた? 許して上げるから、返辞をおし」
「へい」
と、道阿弥の首が答えた。
「ね、ちょいと突ッつくだけなんだから、我慢してね?」
「へい」
「そんなに痛くはないんですって」
「へい」
「あたしね、お前がその顔で耳から札をぶら下げてるところを考えたら、とてもたまらなくなっちまったの。………」
「へい、………御、御尤もでございます。………」
「おほゝゝゝゝ、さあ、もうお黙り」
彼女は度を過した酒のために平素のつゝましさを取り失って、そんなことを云う言葉の調子がまるでお侠なお転婆娘のようであった。