Japanische Klassiker mit Furigana
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しけんといきなわ
死剣と生縄
江見 水蔭
Lesen Sie 死剣と生縄 (しけんといきなわ) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.104 Zeichen · 31 Bildschirme
おぬし一人で渡るのなら、何も這んな悪戯はせんのだが、若い男と連れなのが癪なんだ。其所で女奴、死んで了えっ……それとも俺に助けて呉れというか。頼めば船を出してやるが……」と其憎体さと云ったら無いので有った。
「何んだ狗鼠坊主、死ねばとて貴様なんかに、助けて貰うものかよ。これ、此通り、泳げるわいな。人喰い藻が何んだえ」
小虎は華手に抜手まで切って見せた。併しそれは僅かの間であった。坊主の云ったのは確実で、忽ち細長い藻の先が足に搦んだ。それはぬらぬらと気味悪く、妖魔の手でも有るかのように、水草にも血が通い、脈が打っているかと怪しまれる程。それに掛っては既う如何にも成らなかった。いつしか左右の手にも藻は搦んだ。腰にも、腕にも、脇の下から斜に肩へ掛けても犇々と搦んだ恐ろしい性の悪い藻で有った。
斯う見ては竜次郎、如何しても見殺しには出来なかった。併し木乃伊取りが木乃伊に成るという事を考えずにはいられなかった。此方から飛込んでも、小虎の溺れている処まで行く身の、同じく人喰い藻に掛らずにはいない筈だ。
それよりも先ず悪僧が憎くて成らなかった。悪戯にも程がある。岡焼としても念が入り過ぎた。