Japanische Klassiker mit Furigana
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しけんといきなわ
死剣と生縄
江見 水蔭
Lesen Sie 死剣と生縄 (しけんといきなわ) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.104 Zeichen · 31 Bildschirme
二
然うして云う事為る事、如才無く、総てがきびきびとして気が利いていた。若い時には斯うした風のが、却って男の心を動かしたかも知れぬのだ。
「大杉様へ御参詣なら、是非手前共へお立ち寄りを」
押砂河岸で夜船を上って、阿波村に行く途中の蘆原で、急に竜次郎が腹痛を覚えた時に、お鉄は宛如子供でも扱うようにして、軽々と背中に負い、半里足らずの道を担いで吾家に帰り、それから親身も及ばぬ介抱をして呉れたまでは好かったが、其儘一歩も外に踏出させぬには、此上も無い迷惑なので有った。
竜次郎の腹痛は直ぐ治ったが、折角元の健康に復したのも、二日か三日で又衰え始めて、されば、何処が不良という事無しに、唯ぶらぶらの病に均しく、腑抜けのように日を暮らしていた。月代毛も延びた。顔色も蒼白く成った。眼の窪んだのが自分ながら驚かれるので有った。正しく妖魔の囚虜と成ったので有った。
今日こそはと大勇猛心を出して、お鉄の不在を幸いに、裏庭から崖を降りて稲田伝いに福田村の方へ出ようと考えたので有った。
二
良心の呵責は一歩毎に強く加わるので有った。年上で、身分賤しく、格別美しくも無い一婦人の為に、次男ながらも旗本五百石の家に産まれた天下の直参筋、剣道には稀有の腕前、是天禀なりとの評判を講武所中に轟かした磯貝竜次郎が、まるで掌の内に円め込められて三月の間