Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しけんといきなわ

死剣と生縄

江見 水蔭

Lesen Sie 死剣と生縄 (しけんといきなわ) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.104 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

四

猛烈な嫉妬心を、其肥満の体躯全部に貯えているのが生縄のお鉄で有った。

四

旅装束何から何まで行き届かして、機嫌克くお鉄は送り出して呉れた。

鉄無地の道行半合羽、青羅紗の柄袋、浅黄甲斐絹の手甲脚半、霰小紋の初袷を裾短かに着て、袴は穿かず、鉄扇を手に持つばかり。斯うすると竜次郎の男振りは、一入目立って光るのであった。

「途中でも女と道連れになんか成らないようにして下さいよ。よござんすか。私の乾漢は何処にでもいますからね。ちゃんと見ていますよ」

「大丈夫だ。今は唯師の身の上を思うばかり……それに次いでは御身の事を」

竜次郎はそう喜ばせて置いて、いよいよ前途を急ぎ出した。福田の台地を越して市崎へ出たのは、ほんの一息で有った。

自由の身と成りながらも未だ強力な或物に後髪を引かれるように思われて成らなかった。お鉄の勢力の絶倫な為に、如何に今まで圧迫されていたか分るので有った。

釣られた魚の魚畚を出て、再び大河に泳ぐような気が、次第次第に加わって来た。今度は江戸の方へ引附けられて行くので有った。

「少しも早く師の許へ」

師の陣風斎という人は、実際轗軻不遇の士。考えれば考える程気の毒で成らなかった。