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Japanische Klassiker mit Furigana

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しけんといきなわ

死剣と生縄

江見 水蔭

Lesen Sie 死剣と生縄 (しけんといきなわ) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.104 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

六

と小虎も此所は心得ていた。

「此所の麻縄は私が世話になっていた阿波の甚右衛門の家から、代々捕縄の古く成ったのを寄進するという。三河の宝蔵寺産の麻の上物を酢煮にして、三繰りにしたのを彼の家では用いているのだが、成程これは普通のとは違って丈夫だ」

然う云いながら竜次郎は手繰り始めた。罪有る者とは云え、兎に角人の自由を奪うべく縛り上げた捕縄を、人助けの渡しの綱に遣うというのは、廃物利用にも殊に意味深く覚えられるので有った。

「あれ、私が手繰りますわ」

小虎が代って手繰ろうとした。

「いや、女に力を出させては気の毒、それに袖を濡らすと宜しく無い」

竜次郎はそれを遮切って、矢張自分で手繰るので有った。それを小虎も手伝った。船は向河岸を離れて、空の儘七八間、藤蔓の輪を滑らせながら動き出した。

六

此時、突然、向河岸の蘆間に、大入道の姿が出現した。鼠地の納所着に幅細の白くけ帯を前結びにして、それで尻からげという扮装。坊主頭に捻鉢巻をしているさえ奇抜を通越した大俗さ。それが片手に水の滴たる手桶を提げて、片手に鰻掻きの長柄を杖に突いていた。破戒無残なる堕落坊主。併し其眉毛は濃く太く、眼光は鋭く、額には三ヶ月形の刀痕さえ有った。