Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しけんといきなわ

死剣と生縄

江見 水蔭

Lesen Sie 死剣と生縄 (しけんといきなわ) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.104 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

二人は矢張り元の岸へ戻った。竜次郎は着衣類や大の腰の物を残したからだ。小虎は又先へ行くには、人喰い藻が切開いて無いのみならず、自分ばかり先へ行くのは、恩人に対して悪いからで有った。

岸に上って二人はほっとした。

竜次郎は不図小虎の方を見て吃驚した。女の手足の数ヶ所から、黒血をだくだくと吹出しているのだ。扨は小刀の切先が当って傷を付けたかと思ったのだ。併しそれは蛭が吸いついているのと知れて、安心した。

「さあ、もう、斯うした難癖の附いた処は渡るまい。廻り路はしても、他から」と竜次郎は云った。

「それが宜しゅう御座います」と小虎は然う云いながら、濡れた衣物を絞るので有った。

「おやっ」

竜次郎は叫びを立てずにはいられなかった。その訳で、脱ぎ捨てた半合羽から、袷、襦袢から、帯まで無く成っていた。それのみならず残して置いた大刀や、懐中物から手拭鼻紙まで、紛失していた。

「何者が、持去ったかっ」

磯貝竜次郎は裸にされて了ったのだ。小刀だけは残っても武士の魂たる大刀をまで、何者にか奪われたのだ。

「まあ、私をお助け下さる為に、旦那様に此御難儀を掛けまして、申訳が御座りませぬ」