Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しけんといきなわ

死剣と生縄

江見 水蔭

Lesen Sie 死剣と生縄 (しけんといきなわ) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.104 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

案山子まで見て嫉妬いていたじゃあないか」

お鉄の語る処では、此所の渡場を見張っていたのは、古い乾漢の阿法陀羅権次。博徒が本職の偽坊主で有った。

立木台下の農家が悉く二人に無情なのも、皆お鉄の声が掛ったからと分った。

「さあ、私の威勢は這んなものですよ。それだのにお前さんは、這んなめそっ子と道行をするんですか。濡れたん坊と裸では、余り粋じゃあ有りませんぜ」

盲目的、病的嫉妬に燃える一心には、理も情も通らぬので有った。

「いや、決して二人は、仲の好いの悪いのと、左様な間では御座らぬ」と竜次郎は弁解に掛った。

「おかみさん、どうか悪く思わないで下さいまし」と小虎からも言解きに掛った。

「えっ、お玉杓子が何を云うんだい。私という女ながらも大親分に、じかに口が利けるもんか。黙って引込んでいやあがれ」と、お鉄は突如小虎を突飛ばした。

転んだ小虎は古杭で、横腹を打って、顛倒した。それをお鉄は執念深くも、足蹴にして、痰唾まで吹掛けた。竜次郎はつくづく此お鉄の無智な圧迫に耐えられなく成った。この女と一緒にいては、迚も一生成功は見られぬと考えた。けれども今更如何する事も出来なかった。