Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しけんといきなわ

死剣と生縄

江見 水蔭

Lesen Sie 死剣と生縄 (しけんといきなわ) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.104 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

「先生は本統に御病気なのですかえ」

「それは分らぬ。併し毎夜の如く続けて夢に見る。如何も気に成って耐え難い。どうか姉御、一度江戸へ遣って貰いたい。いや江戸へ帰らして呉れとは云わぬ。行かして呉れ。先生御無事ならば、直様此方へ帰って来る。もし正夢で御病気ならば、御看病申上げて、其後は屹と帰る。金打致して誓い申す」

真心は竜次郎の眼に涙と成って浮ぶので有った。これには生縄お鉄も感動せずにはいられなかった。人間の至誠が完全に表現されるのは、必ずしも多弁を要しないので有った。

「そんな事なら何も私にだんまりで、裏から逃げ出さなくっても好いでは有りませんか。私だって普通の女では無いんですからね。筋路さえ通った事なら、機嫌克く御見送りしますよ」と意外に理解が早いので有った。然うして急いで竜次郎の縛めを解いて、縄の喰入った痕を、血の通うように撫ってやるのであった。

「それは幾重にも詫びるが、今朝は別して師匠の事が気に掛って何んだか一刻半刻を争うように思われたので……一足違いで師の臨終に逢えないような気がしたので、それで姉御の帰りをも待たず、飛出したような次第。どうか悪く思わないで……」