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Japanische Klassiker mit Furigana

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ししゃのしょ

死者の書

折口 信夫

Lesen Sie 死者の書 (ししゃのしょ) von 折口 信夫 (おりくちしのぶ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 62.340 Zeichen · 126 Bildschirme

Aozora Bunko

皆の口が、一つであった。

郎女様か、と思われるあて人が――、み寺の門に立って居さっせるのを見たで、知らせにまいりました。

今度は、乳母一人の声が答えた。

なに、み寺の門に。

婢女を先に、行道の群れは、小石を飛す嵐の中を、早足に練り出した。

あっし あっし あっし ……。

声は、遠くからも聞えた。大風をつき抜く様な鋭声が、野面に伝わる。

万法蔵院は、実に寂として居た。山風は物忘れした様に、鎮まって居た。夕闇はそろそろ、かぶさって来て居るのに、山裾のひらけた処を占めた寺庭は、白砂が、昼の明りに輝いていた。ここからよく見える二上の頂は、広く、赤々と夕映えている。

姫は、山田の道場のから仰ぐ空の狭さを悲しんでいる間に、何時かここまで来て居たのである。浄域を穢した物忌みにこもっている身、と言うことを忘れさせぬものが、其でも心の隅にあったのであろう。門の閾から、伸び上るようにして、山の際の空を見入って居た。

暫らくおだやんで居た嵐が、又山に廻ったらしい。だが、寺は物音もない黄昏だ。

男岳と女岳との間になだれをなした大きな曲線が、又次第に両方へ聳って行っている、此二つの峰の間の広い空際。