Japanische Klassiker mit Furigana
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ししゃのしょ
死者の書
折口 信夫
Lesen Sie 死者の書 (ししゃのしょ) von 折口 信夫 (おりくちしのぶ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 62.340 Zeichen · 126 Bildschirme
此日本の国の人とは思われぬ。だが、自分のまだ知らぬこの国の男子たちには、ああ言う方もあるのか知らぬ。金色の鬢、金色の髪の豊かに垂れかかる片肌は、白々と袒いで美しい肩。ふくよかなお顔は、鼻隆く、眉秀で夢見るようにまみを伏せて、右手は乳の辺に挙げ、脇の下に垂れた左手は、ふくよかな掌を見せて……ああ雲の上に朱の唇、匂いやかにほほ笑まれると見た……その俤。
日のみ子さまの御側仕えのお人の中には、あの様な人もおいでになるものだろうか。我が家の父や、兄人たちも、世間の男たちとは、とりわけてお美しい、と女たちは噂するが、其すら似もつかぬ……。
尊い女性は、下賤な人と、口をきかぬのが当時の世の掟である。何よりも、其語は、下ざまには通じぬもの、と考えられていた。それでも、此古物語りをする姥には、貴族の語もわかるであろう。郎女は、恥じながら問いかけた。
そこの人。ものを聞こう。此身の語が、聞きとれたら、答えしておくれ。
その飛鳥の宮の日のみ子さまに仕えた、と言うお方は、昔の罪びとらしいに、其が又何とした訣で、姫の前に立ち現れては、神々しく見えるであろうぞ。
此だけの語が言い淀み、淀みして言われている間に、姥は、郎女の内に動く心もちの、凡は、気どったであろう。