Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ししゃのしょ

死者の書

折口 信夫

Lesen Sie 死者の書 (ししゃのしょ) von 折口 信夫 (おりくちしのぶ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 62.340 Zeichen · 126 Bildschirme

Aozora Bunko

だが、俊敏な此旅びとの胸に、其に似たほのかな綜合の、出来あがって居たのは疑われぬ。暫らくの間、その薄緑の山色を仰いで居た。其から、朱塗りの、激しく光る建て物へ、目を移して行った。

此寺の落慶供養のあったのは、つい四五日前であった。まだあの日の喜ばしい騒ぎの響みが、どこかにする様に、麓の村びと等には、感じられて居る程である。

山颪に吹き暴されて、荒草深い山裾の斜面に、万法蔵院の細々とした御灯の、煽られて居たのに目馴れた人たちは、この幸福な転変に、目をって居るだろう。此郷に田荘を残して、奈良に数代住みついた豪族の主人も、その日は、帰って来て居たっけ。此は、天竺の狐の為わざではないか、其とも、この葛城郡に、昔から残っている幻術師のする迷わしではないか。あまり荘厳を極めた建て物に、故知らぬ反感まで唆られて、廊を踏み鳴し、柱を叩いて見たりしたものも、その供人のうちにはあった。

数年前の春の初め、野焼きの火が燃えのぼって来て、唯一宇あった萱堂が、忽痕もなくなった。そんな小な事件が起って、注意を促してすら、そこに、曾て美しい福田と、寺の創められた代を、思い出す者もなかった程、それはそれは、微かな遠い昔であった。