Japanische Klassiker mit Furigana
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ししゃのしょ
死者の書
折口 信夫
Lesen Sie 死者の書 (ししゃのしょ) von 折口 信夫 (おりくちしのぶ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 62.340 Zeichen · 126 Bildschirme
こんな風に、しかつめらしい説明をする宿老たちが、どうかすると居た。多分やはり、語部などの昔語りから、来た話なのであろう。踏み越えても這入れ相に見える石垣だが、大昔交された誓いで、目に見えぬ鬼神から、人間に到るまで、あれが形だけでもある限り、入りこまぬ事になっている。こんな約束が、人と鬼との間にあって後、村々の人は、石城の中に、ゆったりと棲むことが出来る様になった。そうでない村々では、何者でも、垣を躍り越えて這入って来る。其は、別の何かの為方で、防ぐ外はなかった。祭りの夜でなくても、村なかの男は何の憚りなく、垣を踏み越えて処女の蔀戸をほとほとと叩く。石城を囲うた村には、そんなことは、一切なかった。だから、美し女の家に、奴隷になって住みこんだ古の貴びともあった。娘の父にこき使われて、三年五年、いつか処女に会われよう、と忍び過した、身にしむ恋物語りもあるくらいだ。石城を掘り崩すのは、何処からでも鬼神に入りこんで来い、と呼びかけるのと同じことだ。京の年よりにもあったし、田舎の村々では、之を言い立てに、ちっとでも、石城を残して置こうと争うた人々が、多かったのである。