Japanische Klassiker mit Furigana
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きまぐれのにんぎょうし
気まぐれの人形師
小川 未明
Lesen Sie 気まぐれの人形師 (きまぐれのにんぎょうし) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 4.963 Zeichen · 10 Bildschirme
すると狭い道の上へ、片側の小さな店先から、紫色の光線がもれてきて、ある一ところだけ紫色に土の上を彩っていました。娘は、その光線がどこからどういうふうにもれてくるのであろうかと、思わず、店の方へ寄っていって、色ガラスで張られた窓の内部をのぞいてみました。
不思議にも、その小さな店は、人形屋でありました。奥のたなの上に、いくつも同じような人形が並べてありました。そして、そのそばで、一人のおじいさんが、筆をとって、人形の顔を描いているのでありました。
おじいさんはランプの下で、人形の目や、鼻や、口を描いていました。そこで、いちいち筆を動かしては、大きな眼鏡をかけた目で、じっと人形の顔をながめていました。自分の気にいると、さもうれしそうに、それを丁寧に箱の中に納めました。そして、つぎの人形の顔を描きにかかったのです。もし、どこか自分の気にいらないところがあると、おじいさんは、いつまでもいつまでも頭をかしげて、そのでき損なった人形の顔をながめていましたが、しまいに前のよくできたときとは違って、手荒に一方の箱の中に入れてしまいました。
娘は、黙って、それを見ていましたが、この人形こそ自分は買って帰って、長い間の忘れがたい記念にしようと思いました。