Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぬまふじん

沼夫人

泉 鏡花

Lesen Sie 沼夫人 (ぬまふじん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.541 Zeichen · 78 Bildschirme

Aozora Bunko

庭の紫陽花の影を浴びて、怪しい色を染めたのを見た。

もうこの上には、仇、情、貴下、私も無さそうな形ながら、婦というだけ、骨の細りと、胸の辺も慎ましやかに、頤を掻込んだ姿を、仔細らしく視めたが、さして心した、というでもなかったに、余程目に染みたものらしく、晩飯の折から、どうかした拍子だった、一風颯と――田舎はこれが馳走という、青田の風が簾を吹いて、水の薫が芬とした時、――膳の上の冷奴豆腐の鉢の中へ、その骨のどの辺かが、薄りと浮いて出た。

それから前は、……寝しなに細君が串戯に、

「夜中に出掛けますかも知れません、婦だって言いますから。」

と笑ったが、話が陽気で、別に気にもならずに寝た。処を、今のその婦が来て……

「ほい、蝮より、この方が開けてくれに縁がある。」

いや、南無阿弥陀仏、縁なんぞないのが可い、と枕を横に目を外らすと、この切がまた白い。襟許の浴衣が白い。同一色なのが、何となく、戸棚の蔽に、ふわりと中だるみがしつつも続いて、峠の雪路のように、天井裏まで見上げさせる。

小松原はまた肩のあたりに、冷い汗を垂々と流したが、大分夜も更けた様子で、冷々と、声もない、音もせぬ風が、そよりと来ては咽喉を掠める。