Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ぬまふじん

沼夫人

泉 鏡花

Lesen Sie 沼夫人 (ぬまふじん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.541 Zeichen · 78 Bildschirme

Aozora Bunko

医師は真面目な顔して、

「場所はちと悪い、白いものの前だ。」

「あれ。」

「さぞまた蒼沼から、迎に来たと言うだろうなあ。」

と雨戸を一枚、颯と風が入って、押伏せて、そこに置いた洋燈が消えた。

が、鶏がまた鳴いて、台所で誰か起きた。

白骨が旧の沼へと立返ることになって、この使者は、言うまでもなく小松原が望んで出た。一夜の縁のみならず、そこは、自分とあの人とがために浮名を流した、浜田の水の源ぞと聞くからに、顔を知らぬ許婚に初めて逢いに行く気もすれば、神仙の園へ招待されたようでもあって、いざ、立出づる門口から、早や天の一方に、蒼沼の名にし負う、緑の池の水の色、峰続きの松の梢に、髣髴として瑠璃を湛える。

その心は色に出て、医師は小松原一人は遣らなかった。道しるべかたがた、介添に附いたのは、正吉と云う壮い車夫。

国手お抱えの車夫とあると、ちょいと聞きには侠勇らしいが、いや、山育ちの自然生、大の浄土宗。

お萩が好の酒嫌いで、地震の歌の、六ツ八ツならば大風から、七ツ金ぞと五水りょうあれ、を心得て口癖にする。豪いのは、旅の修行者の直伝とあって、『姑蘇啄麻耶啄』と呪して疣黒子を抜くという、使いがらもって来いの人物。