Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うみのほとり

海のほとり

芥川 竜之介

Lesen Sie 海のほとり (うみのほとり) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.015 Zeichen · 13 Bildschirme

Aozora Bunko

」

僕は何か僕自身もながらみ取りになり兼ねない気がした。

「ええ、全くやり切れませんよ。何しろ沖へ泳いで行っちゃ、何度も海の底へ潜るんですからね。」

「おまけに澪に流されたら、十中八九は助からないんだよ。」

Hは弓の折れの杖を振り振り、いろいろ澪の話をした。大きい澪は渚から一里半も沖へついている、――そんなことも話にまじっていた。

「そら、Hさん、ありゃいつでしたかね、ながらみ取りの幽霊が出るって言ったのは?」

「去年――いや、おととしの秋だ。」

「ほんとうに出たの?」

HさんはMに答える前にもう笑い声を洩らしていた。

「幽霊じゃなかったんです。しかし幽霊が出るって言ったのは磯っ臭い山のかげの卵塔場でしたし、おまけにそのまたながらみ取りの死骸は蝦だらけになって上ったもんですから、誰でも始めのうちは真に受けなかったにしろ、気味悪がっていたことだけは確かなんです。そのうちに海軍の兵曹上りの男が宵のうちから卵塔場に張りこんでいて、とうとう幽霊を見とどけたんですがね。とっつかまえて見りゃ何のことはない。ただそのながらみ取りと夫婦約束をしていたこの町の達磨茶屋の女だったんです。