Japanische Klassiker mit Furigana
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うみのほとり
海のほとり
Lesen Sie 海のほとり (うみのほとり) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.015 Zeichen · 13 Bildschirme
二
その声はどうもKらしくなかった。のみならず誰か僕のことを心配してくれる人らしかった。僕は急にわくわくしながら、雨戸をあけに飛び起きて行った。実際庭は縁先からずっと広い池になっていた。けれどもそこにはKは勿論、誰も人かげは見えなかった。
僕はしばらく月の映った池の上を眺めていた。池は海草の流れているのを見ると、潮入りになっているらしかった。そのうちに僕はすぐ目の前にさざ波のきらきら立っているのを見つけた。さざ波は足もとへ寄って来るにつれ、だんだん一匹の鮒になった。鮒は水の澄んだ中に悠々と尾鰭を動かしていた。
「ああ、鮒が声をかけたんだ。」
僕はこう思って安心した。――
僕の目を覚ました時にはもう軒先の葭簾の日除けは薄日の光を透かしていた。僕は洗面器を持って庭へ下り、裏の井戸ばたへ顔を洗いに行った。しかし顔を洗った後でも、今しがた見た夢の記憶は妙に僕にこびりついていた。「つまりあの夢の中の鮒は識域下の我と言うやつなんだ。」――そんな気も多少はしたのだった。
二
……一時間ばかりたった後、手拭を頭に巻きつけた僕等は海水帽に貸下駄を突っかけ、半町ほどある海へ泳ぎに行った。