Japanische Klassiker mit Furigana
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うみのほとり
海のほとり
Lesen Sie 海のほとり (うみのほとり) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.015 Zeichen · 13 Bildschirme
「おうい。」
Mはいつ引っ返したのか、向うの浅瀬に佇んだまま、何か僕に声をかけていた。けれども生憎その声も絶え間のない浪の音のためにはっきり僕の耳へはいらなかった。
「どうしたんだ?」
僕のこう尋ねた時にはMはもう湯帷子を引っかけ、僕の隣に腰を下ろしていた。
「何、水母にやられたんだ。」
海にはこの数日来、俄に水母が殖えたらしかった。現に僕もおとといの朝、左の肩から上膊へかけてずっと針の痕をつけられていた。
「どこを?」
「頸のまわりを。やられたなと思ってまわりを見ると、何匹も水の中に浮いているんだ。」
「だから僕ははいらなかったんだ。」
「をつけ。――だがもう海水浴もおしまいだな。」
渚はどこも見渡す限り、打ち上げられた海草のほかは白じらと日の光に煙っていた。そこにはただ雲の影の時々大走りに通るだけだった。僕等は敷島を啣えながら、しばらくは黙ってこう言う渚に寄せて来る浪を眺めていた。
「君は教師の口はきまったのか?」
Mは唐突とこんなことを尋ねた。
「まだだ。君は?」
「僕か? 僕は……」
Mの何か言いかけた時、僕等は急に笑い声やけたたましい足音に驚かされた。それは海水着に海水帽をかぶった同年輩の二人の少女だった。