Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

Lesen Sie 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.120 Zeichen · 302 Bildschirme

Aozora Bunko

「こわかったわ……、早く帰りたいわ、もう東京はこりごり」

美都子が、ほんとに怖そうに、華やかなマフラーの頸をすくめた。

小犬は、いい具合に、もう鳴きやんでいた。

「こいつ、やっぱり催してたんだね……、いつもはこんなことないんだけど」

「まあ、いいわ、お兄様のポケットだもん」

「こいつ……」

「はっははは、でも汽車に乗るんだと思うと、近くても旅に出るような気がするね」

「そうでしょう」

美都子が引とって

「乗ってしまえば一時間と一寸なのだからちょいちょい出て来られそうなものでも、でもやっぱり乗るまでが憶劫になっちまうのよ、すっかり田舎者になっちゃったわ」

「まさか……」

「ほんとなのよ」

「こいつはね、東京を離れたのが不服なんだよ、――そんなら眠り病になればいいさ、あれは村田にいわせると近代病だそうだから……」

「あらいやだ……、こんな病気が流行るんなら茅ヶ崎の方がいいわ」

そんなことをいっているうちに、電気機関車が滑り込んで来た。

車内に這入ると、ごろごろ寝ている人が眼について、ぎょっとしたけれど、これは眠り病のせいではない、と気づいて、ほっとした。

美しい美都子がいたので、思ったよりも早く、茅ヶ崎に着いてしまった。