Japanische Klassiker mit Furigana
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かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
Lesen Sie 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.120 Zeichen · 302 Bildschirme
何処かで、時計のように規則正しく機械の音がしていた。しばらく耳を澄ましていたが、それ以外には、何一つ聴きとることが出来なかった。
中野は、立止ったまま考えていたが最初の考えの、叔父を探すのはやめて、そのまま手近にあった救命具入れらしい箱の蔭に、体をかくしてしまった。
叔父が一体どんなところに住んでいるのかを見てやろう――と思いついたからであった。も一つ、そういう密航を簡単に決心させたのはどうやら先刻この船にいた、あの美少女のせいでもあるらしかったが……。
そして、何分ぐらいたったであろうか。すくなくとも十分とはたたなかったようであるが、中野は、海風が妙にひんやりして来たのに気づいた。そういえば、かすかではあるが、この船は震動しているようである。
(おや、動き出したのかな……)
と思っているうちにも、スピードはぐんぐん上って行くらしかった。いまにも吹き飛ばされそうな風圧が加わって来た。
息も出来ないような風圧に慌てた中野は、つい二三歩ばかり離れた艙口に、やっとのことで飛つくと、無我夢中で船内にころげこんだ。
ほっと息がつけた。この船は、想像も出来ないような猛スピードで駛り出したらしい。