Japanische Klassiker mit Furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme
貞時は筒井の長い髪を見ていった。
「とうとう今宵という日が来たね。永い間ではあったがきょうになって見るとそれほど永いとは思わない。」
筒井はだまって領いて見せた。この四年のあいだに女としてまもるものを守った彼女は、なにか苦行を終えた後のような身の軽さが感じられた。いまになって見ると何の為に永い間はたらいてばかりいたか、徒事にすぎないことに思われた。人は徒らに無駄な歳月を経てから、或る頂に辿りつくものらしく、そうなると役なき歳月もまた頂に達する日のために、用意された苦行としか思われなかった。
「永いゆめでございました。なにも彼も、あまりに遠い日のことに思われてなりませぬ。」
「そなたは誰でもできないことをなされた。そのよい償いは我らがつかまつるようになるであろう、まるできょうの日のためにそなたは苦労されたようなものだ。」
「それは勿体のうございます。わたくしはやはりあれだけのことをしていなければならぬように、約束されていたのでございます。それゆえにきょうの身心の軽さは生れかわったように思われます。」
「間もなく日がくれると変った夜がおとずれて来る……」
筒井は赧くなってうつ向いた。