Japanische Klassiker mit Furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme
ただ今宵こそにひまくらすれ
仕えの女はしばらく裏戸から去らずに、何かを待っているふうだった。筒井は固い唾を呑み身じろぎもせずに立っていた。仕えの女はもどって来ていった。
「これをと仰せられました。」
筒井は早書きにした紙片にしるされた文字をなつかしく読みくだした。落着いた心をそのまま述べたような和歌だった。そしてそれは男が謙遜にもできるだけ広い愛を持ち、その愛情を示すことにより、一層、筒井を愛したような迫ったものさえうかがわれた。
あづさ弓ま弓つき弓としを経て
わがせしがごとうるはしみせよ
「わがせしがごとうるはしみせよ」こういうお気持でいられたのか、自分にしたように貞時さまに尽すようにとのお言葉であった。これはありがたい言葉であった。
「あづさ弓ま弓つき弓……」こうも弓にも品々あるほど、我も苦労したといわれている、便りのなかったのは苦労が多く、身を起すひまさえなかったのではなかろうか、それゆえにこそ逢いに津の国に下らなかったにちがいない、それは筒井はまるで知らなかったことだ。やはり彼方はよい人であった。いまになってもよい心を失さずにいられるではないか。