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Japanische Klassiker mit Furigana

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おぎふくうた

犀星王朝小品集

室生 犀星

Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme

Aozora Bunko

しかも今宵という日に、漂然ともどって見えられた。しかも生きていられ健やかであった。これは一体どうしたことであろう――筒井は、からだを小さくできるだけ小さくし、呼吸を呑みこんでなおうかがうように裏戸の方を見すえていた。

「筒井、ただいま戻って来た、お会い申したい。」

男の声はむかしとは渝りのないものであったが、筒井はすぐに答えることの軽卒さを身に感じた。それにしても今宵とは誰のいたずらであろう。筒井は悲しい怒りさえかんじ、眼をうら戸から離さなかった。そして彼女は畳紙にさらさらと書きくだして、それを自分で持って行くべきか、仕えの女に持たせようかと考えているあいだにも、そとの声はつづいた。

「この戸を開けたまえ。」

ついに筒井は裏戸の方に行こうとしたが、きゅうに会うべきでないことを知った。彼女は仕えの女を呼んだ。仕えの女に彼女は裏戸にいる男を教えた。

「これをあの方にたてまつるよう、ほかのことは承ってはなりませぬ。ただこれだけを差し上げるように。」

筒井は畳紙にしるした一首の和歌を仕えの女に手渡した。

「はい。」

仕えの女は裏戸に向いて去った。

あらたまの年の三年を待ちわびて