Japanische Klassiker mit Furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme
村人は総出になったが、火はふくれ拡がり、深く野の胴腹を抉って山麓の方に、怒濤状の起伏を音響のある火風になって押し寄せて行った。
馬上の武士はもう何事も手のつくされないことを知ると、ただ一騎で野をよぎり、山麓の方に向きを据えると、馳りに馳った。火の手は馬上の彼とすれすれの勢いで、或る火の道はほどばしりを上げながら、彼のゆく手を抜いて燃えさかり、馬の脚なみと同じ速力を競うて、燃えついて行った。
流れがあった。その流れのあたりに人の通りつけた小径が、ひとりでに草の間についていて、小径は山麓と野の境の間にある一つのほら穴の前に、行き尽いていた。ほら穴の入口にも雑草は蔽うていたが、人が住むために整えられたような穴のへりは、円いなめらかさを持っているのは、疑いもなく誰かが、いるためとしか、思われなかった。彼が其処に走りついた時にも、火の手は背後にも、前にも幾層となく縞目を縒って追っていた。わずかな芒や萱の節々の燃えはじける音は、一つの交響的なほどばしりになって寄せた。
「危い出ろ。」
馬上の武士のこういう叫び声がつづくと、穴の中から一人の男がまるで火の手なぞを一向に問題にしない、平気な顔付で現われた。