Japanische Klassiker mit Furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme
村人は口々に叫びながら、ついに、火は四方の枯草の上につけられた。火はほんの一刻の間に舐め廻す火先と火先のつながりから、一さいに大きいひろがりから、塊に変って行った。
恰度その時、馬上の武士がかれらが逃げようとする、前の道路に立ちふさがった。村人は一つのかたまりになって後ろ退さりに、火をつけた方に戻るような位置になって行った。
「火を消すのだ、野を焼くことは大罪になる、火を消せ。」
村人は言った。
「盗人を焼くのだ、これが何の大罪になるのだ。」
「大罪も大罪、死罪になる、早く消してかかれ、火を消せば罪は咎め立てはせぬから、早くかかれ。」
村人は死罪という言葉にたじろうた。武士はふたたび叫んだ。
「火の元を消さなければ悉く死罪を言い付けるぞ。」
村人はなおぐずついている間に、武士は一人の村人を斬った。斬られた百姓はただちに捕えられた。
折から、鐘が鳴り、非常の空気が村人の上に蔽いかかり、なお、ぐずついていれば皆召し捕られることに、武士は叫びながら呶鳴った。
「火を消せ。」
村人らは自分の放けた火を消し出したが、生憎の追風にはもう手の尽しようもなく拡がった火の手は、四方から暗い煙と、粉を吹く火の手にかわり、墨汁のような一面の煙はもう行くところまで燃え拡がらなければ、おさまらないふうだった。