Japanische Klassiker mit Furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme
」
彼女は熟々持彦の顔を見ながら、半ば恍惚とした半ばは感銘ただならぬふうに、呆れたようにいった。
「男というものにほだされると、こんなになるものとは思いませなんだ。こんなにも、女の生涯までも持ってゆくものだとは、まるでぞんじませんでした。」
彼女はさめざめと持彦にもたれて唏り泣いた。それは愛情が極まったくやしさもあれば、もう何処にも行かない、あなた様のお傍よりほかに行くところがないという証でもあった。そして女という運命がみなこんなものであったかという発見も伴うていた。
「お身は時々自分にかえって二人の間を考えているが、わたくしはそれを考えるひまもなかった。無理無体だとは知っていたが、もう自分を制えるちからも、なくなってしまったのだ。ありのままで我々の生活を続けるより外はない、迷うということは我々にはもうなくなっているのだ。」
「わたくしは迷うことの愉しさをおぼえています。あなた様のなかにわたくしのみちは、迷いつづけているような気がいたします。抜けみちも、出るところも見失っているのでございますもの。」
「それはわたくしからも言える。お身がわたくしに抜けみちがないといふより、もっと、みちは紆曲していてまるで行き先さえ分らない、これはわたくしだけではなく、誰でも女の中に生きるみちを見付けた人間は、みな此処が行き止りに