Japanische Klassiker mit Furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme
この女を還した後の何年かは、女というものをこの山中で知ることの出来ない残念さがあった。しかしそれを押し切って女をものにすれば、仲間が割れるばかりか袴野が刃がしらを向けて来るだろう。女一人を手に入れることは山塞者にとって、全部の仲間を敵にまわすことにもなる、禁じられた女の肉体は命とすれすれの線に引っかかっている。
突然、袴野の小方の野伏が、立ち上っていった。
「すて様一人では途中が思いやられる。都の姫さまもそのままでは土民の戯れが気がかりだ。」
わしを供に遣ってくれと袴野に乞うた。
袴野は言下にかぶりを振った。こういう機会をうまく、袴野にもすらすらと諾かそうとする虫のよい肚が見えた。
「すて一人でも沢山だ、だが、小方二人あてを両方から従けさそう、しかし野伏はならぬ。」
野伏は苦り切って引き退がり、すては表には眉も眼もうごかさなかった。袴野がこれを許すはずはない、でも、万一にも袴野が聞いてくれたらと、それを思い遣るとすては大腿が躍る弾みを感じた。結局、両方から小方二人ずつが従いて、都の女をすてが送ることになり、野伏ノ勝は居残ることになった。
日はまだ高く、二人は馬上で暑さを避けることが出来た。