Japanische Klassiker mit Furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme
女と名づく者ともう何年も話したことのないすては、都の女の壺装束の綾と、うすものに心が惹かれた。そしてすては、都ではいま装束の流行はどうなっているか、高貴な女はみなやはり輿に乗っているか、道化のしばいがあるか、男はみな太刀をはき、かんむりをかぶっているかなどと訊ねた。そして彼女は十三の時から都の町を歩いたことがない、衣装は悉く人から取り上げたものばかりで、あるいは短くあるいは長いと笑いながらいった。姫は馬の上で、羅のかぶり物、錦の帯をといてすてに与えていった。
「わらわは四条院の藤原良通の娘、時が経った後でもお訪ねあれ、必ずおかくまいいたしまする、名は良通の姫とだけ、……」
「いえ、あなた様をたずね身の振り方をつけるようなことなぞは、先ず、ございますまい、山稼ぎ者は、ことに女の身は明日は誰の者になるかも分らぬ。」
「あなたはあのご老人の添い方でいらっしゃいますか。」
「袴野に十三から育てられ、ただいまは妻になっております。袴野は父、そして夫に代る者です。」
「おん名は、」
「すて、すて姫とみながそう言っております。」
すては自分が都の女と、対等の女らしい言葉をつかい、女らしいよそおいが心にまで入ってくるのが、時間が経つとしだいに判り出して来た。