Japanische Klassiker mit Furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme
或る日すてが寝ている間に袴野は赤ん坊を抱き上げようとして、耳聡いすてに発見された。何する、と、すては叫んで赤ん坊を自分のむねに抱き緊めた。
「そいつがいるからお前はおれを嫌うのだ。」
「この子を殺す気か、本当をいえ。」
「おれに任せよ、苦労のないようしてやる。」
「袴野どの、あたしは貝の舌を噛み切ったくらいの女だ、この子に指一本でも触って見よ、あんたのからだぢゅうに、……」すては煤のようにくらいものを眼附に漂わして言い続けた、「……からだはおろか、ノドブエだってがりがりみんな噛みくだいて遣る、この子にちょっとでも触ったらそれがあんたの最後だと思うがいい、ほらね、これだって何の苦もない、……」
突然、すては爐にささった竹の火箸を手に取ると、唇に咥えこんだと見る間に、あろうことかばりばりと上と下の白い前歯で噛み砕いた。歯と唇とから一面に鮮血が噴いてはしった。袴野は凜乎としてあの日の貝ノ馬介の、どこが何やら見境のない血だらけの顔面を眼にうかべた。
「ほらね、唐金だってね。」
彼女は再び唐金ののべ棒を手に取って見せた瞬間、袴野はいたたまらなくなって、にわかに用向きがあるよう努めて平気を装うて、急ぎ足で塞の前の場に出て行った。