Japanische Klassiker mit Furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme
勝はただ黙々として食餌のこと不浄物のことを、まめやかに立ち働いた。塞の奥のすての二つの瞳は或る日は野獣の凝視にもえているような時と、また、またたきを失っている茫やりした時と、あるいは野うさぎのように物かげにかくれようとしている時の、そのかがやきを交叉していた。
全山全塞に緑の季節が来て、媼は登山し、野伏ノ勝は白鼠のようにはたらいて、ついに、すては一人のでかい赤ん坊を生み放った。赤ん坊は育ちに育ち、すてのきりょうは赤ん坊を生んだ時から、顔にあったざらざらしたものまで拭き取られて、すべすべした美しい皮をかむって来た。袴野の驚きはすての変貌にひきよせられ、彼は目をほそめて、すてのそばに寄ろうとしたが、すては叱り飛ばすようにこの老いた野獣を一挙に退けた。そしてその頃には、野伏ノ勝もそばによせつけなかった。赤ん坊を抱いたすては、もはや、それだけで色気たっぷりのこぼれる景色のものであった。何やら、えたいの判らない子守のうたが、塞の奥からほそぼそとそとにまで漏れて来て、小者どもも、あ、そうかとちょっと笑い顔になって通り過ぎた。
袴野はすてから赤ん坊を取り上げるか、殺すかしなければ再びすてが自分の物にならないことを知った。