Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme
……妾が京都で仕事をした時、ちょっとばかり懇意にした人さ。それであの時逢ったので、つい立ち話をしただけさ。……姉小路様が何かのご用で、こっそり江戸へおいでになったのについて、江戸へ来たとか云っていたっけ。……松浦民弥っていう人さ」
「ははあさようでございますか。……が、わたくしにはあの若侍が、今度の事件に関係あるよう……」
「そうかねえ、そんな筈はないが……」
こう梶子は云ったものの、実は梶子もそのことについては、多分に疑がいを持っているのであった。
(あの時あの娘を松浦様は、たしかにつけて行ったような気がする。あの娘と松浦様とが手を組んで、萩丸様を誘拐したような気がする)
こんなように思われてならないのであった。
では何故彼女は民弥の方へ、探索の手を延ばさないのであろう?
それは恋する心からであった。
(今度の事件は背景が大きく、恐ろしい事件であるような気がする。そんな事件に、民弥様など、どうぞ関係ないように! ……ナーニ関係なんかありゃアしないよ! あるものか、ありゃアしない!)
この矛盾した心持ちが、民弥の方へ探索の手を、いまだに延ばさない原因なのであった。