Japanische Klassiker mit Furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Lesen Sie 玉藻の前 (たまものまえ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.703 Zeichen · 261 Bildschirme
と、忠通は悩ましげに頭をかたむけた。「お身の言わるる通り、忠通の威勢を以って彼女を申し勧むるに、なんの故障はない筈じゃが、高き木は風に傷めらるるとやらで、この頃の忠通には眼にみえぬ敵が多い。いや、ひがみでない、忠通はたしかにそう見ておる。就いては玉藻の儀も何かとさえぎって邪魔するやからがないとも限らぬ。まず第一には弟の頼長めじゃ。次には信西入道、彼もこのごろは弟めの襟もとに付いて、ややもすれば予に楯を突こうとする、けしからぬ古入道じゃ。まだそのほかにも数え立てたら幾人もあろう。うわべはさりげのう見せかけて、心の底には忠通を押し傾けようと企んでいるやからが、殿上には充ち満ちておる。お身はまだ知らぬか」
忠通と頼長、この兄弟の不和は師道も薄うす知らないでもなかったが、忠通の敵が殿上に充ち満ちているなどとはちっとも思い寄らないことで、それは恐らく彼のひがみであろうと思った。自体関白の様子は昔とよほど変わっている。質素な人物がだんだんに驕奢に長じてきた。温厚な人物がだんだん疳癖の強いわがままな性質に変わってきた。殊にこの頃は病いに垂れ籠めているので、疳癖はいよいよ昂ぶって、あらぬことにも心を狂わすのであろう。