Japanische Klassiker mit Furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Lesen Sie 玉藻の前 (たまものまえ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.703 Zeichen · 261 Bildschirme
彼は頼長と打ちあわせて、こちらも表向きは雨乞いの祈祷と言い立て、おなじ河原で祈りくらべをさせることに決めた。一日を二つに分けて、あかつきの卯の刻(午前六時)から午の刻(十二時)までの半日を泰親の祈祷と定め、午の刻から酉の刻(午後六時)までの半日を玉藻の祈祷と定め、いずれに奇特があるかを試さするというのであった。
「又しても彼らが楯を突くか」と、忠通は焦れて怒った。
しかし玉藻は別に騒ぎもしなかった。祈り比べをするというのは却って幸いである。どちらに奇特があるかを万人の見る前でためしたいと言った。
「して、万一わたくしの勝ちとなりましたら、相手の播磨守どのはどうなりましょう」
「むろん流罪じゃ。陰陽の家へ生まれてこの祈りを仕損じたら、安倍の家のほろぶるは当然じゃ」と、忠通は罵るように言った。
「お気の毒じゃが、是非がござりませぬ」
彼女は自分の勝を信ずるように言った。
忠通も彼女に勝たせたかった。相手の泰親はともかくも、この勝ち負けは結局自分と頼長一派との運定めであるように思われた。彼は苛いらした心持でその日を待っていた。
八月八日はやはり朝から晴れ渡っていた。