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Japanische Klassiker mit Furigana

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たまものまえ

玉藻の前

岡本 綺堂

Lesen Sie 玉藻の前 (たまものまえ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.703 Zeichen · 261 Bildschirme

Aozora Bunko

われに誠の心があれば、神も仏も奇特を見せられまする」

「さればとてもう堪忍の緒が切れた。堪忍にも慈悲にも程度がある。頼長と忠通とは前の世からのかたき同士であろう。弟を仆すか、兄が仆るるか、しょせん二人が列んでゆくことは出来ぬ定めじゃ」

「では、どうでも左大臣どの御誅伐でござりまするか」と、玉藻は不安らしく訊いた。

「勿論のことじゃ」

「して、お味方は……」

この問題に出遇って、忠通はいつも行き詰まるのであった。この夏の引き籠り以来、自分の味方のだんだんに遠ざかって行くのは、見舞いの人の数が日増しに減るのを見てもよく判っていた。背いた味方はみな頼長の傘の下にあつまるのであろう。それを思うだけでも、忠通の胸は沸き返った。

「きのうの味方もきょうの仇、頼もしゅうない世の中じゃ。忠通が頼長誅伐を触れ出しても、味方にまいる者は少ないかのう」と、彼はこの世を呪うように物凄い溜息を長くついた。

きのうの味方がきょうの仇と変わる世の中だけに、また都合の好いこともあると、玉藻は慰めるように言った。そういう人間が多いだけに、いったんこっちの羽振りがよくなれば、昨日のかたきは又すぐ今日の味方に早変わりをするのである。