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Japanische Klassiker mit Furigana

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たまものまえ

玉藻の前

岡本 綺堂

Lesen Sie 玉藻の前 (たまものまえ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.703 Zeichen · 261 Bildschirme

Aozora Bunko

戻ってみると、叔父や叔母の老いの衰えが今さらのように彼の眼についた。千枝太郎は悲しくなった。師匠の勘当をうけて来た甥を叔父や叔母はさのみ叱りもしないで、かえって懐かしそうに迎えてくれたので、彼はいよいよ涙ぐまれた。足かけ五年のあいだ、師匠の教えをうけた学問はありながら、勘当された今の身の上では、それを表向きの職として世に立つことは出来ない。さりとてもう一人前の若い者が、手を袖にして叔父や叔母の厄介にもなっていられないので、差しあたっては昔の烏帽子折りに立ちかえって、ちっとでも叔父の手助けをしたいと彼は思った。叔父も喜んで承知した。千枝太郎はその以来、叔父と一緒に商売に出ることもある。自分ひとりで出ることもある。こうしてもう小ひと月を送っているうちに、彼もだんだんに仕事に馴れて来て、朝に家を出て暮れ方に戻れば、きっと幾らかの銭を持って来るので、年をとった叔父や叔母はよい稼ぎ人の戻ったのを、むしろ喜んでいるくらいであった。

これがおれの運かもしれない。せめてこうしているあいだに精ぜい働いて、叔父や叔母に孝行を尽くそうと、彼もこの頃ではあきらめた。師匠のこと、玉藻のこと、それが胸いっぱいに支えているのを、彼は努めて忘れようとしていた。