Japanische Klassiker mit Furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Lesen Sie 玉藻の前 (たまものまえ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.703 Zeichen · 261 Bildschirme
大勢の家来どもは剣をぬいて雷震を取り囲んだ。坑の火はますます盛んに燃えあがって、広い宮殿をこがすばかりに紅く照らした。その猛火を背景にして、無数の剣のひかりは秋のすすきのように乱れた。雷震の鉞は大きい月のように、その叢すすきのあいだを見えつ隠れつしてひらめいた。
藻に似た女は王にささやいてしずかに席を起った。千枝松はそっとあとをつけてゆくと、二人は手をとって高い台へ登って行った。二人のあとをつけて来たのは千枝松ばかりでなく、鎧兜を着けた大勢の唐人どもが弓や矛を持って集まって来て、台のまわりを忽ち幾重にも取りまいた。そのなかで大将らしいのは、白い鬢髯を鶴の毛のように長く垂れた老人であった。千枝松は老人のそばへ行ってこわごわ訊いた。
「ここはなんという所でござります。お前はなんというお人でござります」
ここは唐土で、自分は周の武王の軍師で太公望という者であると彼は名乗った。そうして、更にこういうことを説明して聞かせた。
「今この国の政治を執っている殷の紂王は妲己という妖女にたぶらかされて、夜も昼も淫楽にふける。まだそればかりか、妲己のすすめに従って、炮烙の刑という世におそろしい刑罰を作り出した。