Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ばんちょうさらやしき

番町皿屋敷

岡本 綺堂

Lesen Sie 番町皿屋敷 (ばんちょうさらやしき) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.494 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

彼女はふとある事を思い泛べた。よもやとは思いながらも、まだ疑われてならない男の性根を確かに見定めるには、今が好い機会であるように思われた。

それはあの高麗焼の皿である。青山の家の宝物という十枚の皿である。お菊はその一枚を打砕いて、播磨の愛情の深さを測ろうと思いついた。ついした疎匆で大切のお皿を損じましたと、主人の前に手をついた時に、播磨は何というか、自分をどうするか。彼が真実自分を愛しているならば、たとい家の宝物を破損しても深くは咎めない筈である。

「いっそ疎匆の振りをして、あのお皿を一枚打ち毀して、お菊が大切か、宝が大切か、殿様の本心を試してみよう」

こう思いつきながら彼女はさすがにまた躊躇した。その皿が悉く割れた時には青山の家が亡びるという怪しい伝説を彼女は恐れた。しかしただ一枚を損じただけであれば家には禍も祟りもあるまい。それを損じた人間が主人の仕置をうければ済むのである。この場合、自分はもとより死を恐れてはいられない。一枚の皿を傷つけた科として、自分を無慈悲に成敗する程の主人であれば、自分に対し深い愛情をもっていないことは判り切っている。主人がそういう心であれば今度の縁談もいよいよ事実となって現われて、自分は所詮振り捨てられるに決まっている。