Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
と、やっと高氏は口をひらいた。声にはなんの感情のひびきもない。
「おただしの義、高氏の知るところとは、はなはだ違っておりまする」
「どう違う。そこを仔細に述べられい」
「身の受けた蟄居二年の門には、幕封をかしこみ、わが母すら近づいた例はありません。たまたま、弟直義が、警固番の怪しみをうけたとは申せ、それも決して、垣を越えたわけではなく、ただ、近くの河原へ来て、兄の幽所の灯を見ていたまでと、聞きました」
「そりゃ、新田の上訴の状とは、大いに相違するが」
と、貞顕は、義貞の方へ、視線を転じて。
「――御辺としては、早馬にて上訴の箇条を、あくまで動かぬ事実と、固執あるにや」
「いや、義貞としては、先の具申の内容を、いささか改め申したく、お召なくとも、出府の心でおりました」
「では、先のは誤報か」
「なにぶん騒動直後の早馬、弟義助も、激昂のなかにて、上訴をしたためたものと思われまする。が、事しずまってみれば、郎党どもの報も、すべてが真とも聞かれず、また蟄居中、高氏の慎みは、神妙でもござりましたゆえ、なにとぞ、訴状は一応、お取下げ願わしゅう存じまする」
「しからば、両家の間にて、和談のお腹よの」