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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme

Aozora Bunko

……」

義貞のせつなの眉を、このとき、誰も正視にたえなかった。

「よしっ、忘れまいぞ。いつかは尊氏にこの逆の目を見せずにおこうや。が、ぜひもない。今は無念をのんで退いておこう」

全軍、富士川を雪の夜半にやっと渡った。

一方。

足利勢は三島を中心に夜っぴての凱歌だった。降りやまぬ雪の下にはまだ炎々と民家が焼けているのだが消し手はなく、ただ戦勝の驕りに燃えた顔の狂奔と、降参兵の大群が、諸所に茫然と給与の粥を待ってたたずんでいるほか、折々、前線からの騎馬が泥土を飛ばしてその夜の本陣の森へ入って行くのが見られるだけで、いつか十四日の朝は来ていた。

尊氏と直義とは、きのうここの国府の館で落ち合い、

「いまは何もいえぬ」

と、いう尊氏に、

「私もただ胸がいっぱいで」

と、直義も眼をうるませ、二人はあとの陣務に追われていた。

その降将のうちでも、とくべつに尊氏が床几を与えて、やあと、親しげに迎えたのは、かの佐々木道誉であった。

「道誉。健在でまずめでたいの」

「おかげで。ははは」

「いやこのたびの勝ち軍は御辺の功を第一と思う。ご苦労だった」

「お賞めにあずかって身の面目でおざる。