Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
魔風、大厦に吹きかけ
宇治平等院の宝蔵仏閣
たちまちに焼けうせしこそ
浅ましけれ
と、古典の筆者も古来の文化財が芥のよう焼亡されてゆくさまを嘆いている。
いやそのような暴状はここだけでなく、石山寺の宝蔵もこのときに破壊され、淀、八幡、山崎へかけても同様だった。とまれ都門の東西南北、今やぐるりと剣槍の長城だったわけである。
また、ここで視野を大きく、全国的なうごきへも目を注いでみる要がある。
さきに足利方が、直義の名で、諸国へ飛ばしておいた檄の応えが、いまやものをいって来たかたちで、
五畿、七道、四国九州、全土の朝敵
一時に蜂起すと聞えしかば
朝野肝を消さずといふ事なし
とあるような情勢にもあったので、都はまさに海嘯の中の一楼に似ていたのである。――現に、刻々と兵庫、摂津方面からせまって来る四国の細川定禅(足利一族)、山陽、山陰の武族など、みなそれの呼応で起ったものだった。
だから尊氏には、確信があった。心に期して、あせらなかったようである。
彼は大晦日も元日も行軍中にあった。そして途上、江州の伊岐ノ宮の小城を一昼夜で攻めつぶし、前線に着いてからでも、入念に巡察をおこなっていた。