Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme

Aozora Bunko

「会うてやれと? 誰に」

「ご一子、不知哉丸さまに」

「…………」

「また、藤夜叉どのとも。……いやその藤どのは、名をかえて、いまでは越前ノ前と申しあげ、以後ずっとお変りなく、伊吹の城に、今日を待っておられました。ひと目会うておあげなされませぬか」

尊氏はふと胸をさいなまれた。

なろうなら目をふさいで過ぎてしまいたかったものを――その罪業の形見みたいな者たちへ――苦い想いを余儀なくされていたからだった。

道誉の言によれば。

藤夜叉は、越前ノ前と名をかえて不知哉丸とともにつつがなく伊吹の城にいるという。あれいらい三年になる。不知哉丸もはや十三か。

その母子をわすれているどころか尊氏は自己のおかした罪業のつぐないをいつかは果たさねばならぬものとして日頃にも悩んでいた。けれど実の子や妻とも一つにいられぬほどな時局だった。大望の達成までは、家庭や身辺の犠牲はやむをえないとあえて顧慮から忘れようとしていたのである。彼はわざと非情を顔に作って道誉へ言った。

「いや、御辺の親切気はかたじけないが、この日において、申さば、つまらぬもてなしというものよ。さし措いてもらいたい」